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2006 年度 実績報告書

層状窒化物超伝導体における超伝導発現機構

研究課題

研究課題/領域番号 17684014
研究機関東北大学

研究代表者

田口 康二郎  東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (70301132)

キーワード層状構造 / 超伝導 / 少数キャリア / ラマン散乱 / 電子格子相互作用 / クーロン相互作用 / プラズモン / BCS理論
研究概要

今年度は、前年度に引き続き、ドーピング量を変化させたLixZrNCl単相試料の合成を行い、これを用いてラマン散乱、光学反射率、ホール係数などの測定を行った。合成した試料が単相であることは、全ての試料に対してSPring-8における放射光を用いたX線回折実験を行うことにより、確認した。母物質およびLiをドープした計6個の試料に対して低温ラマン散乱実験を行い、フォノンの線幅の温度およびドーピング依存性を明らかにし、このデータの解析から電子格子相互作用のドーピング依存性を明確にした。この結果、電子格子相互作用は、ドーピングの減少とともに弱くなっていることが明らかになった。このことは、前年度に見出した、ドーピングの減少とともにTcが増大する振る舞いと、単純なBCS理論の枠内では相容れない振る舞いである。そこで、この系が少数キャリアであることから、キャリア間のクーロン相互作用の遮蔽が通常金属のように十分ではなく、クーロン相互作用の動的部分、すなわちプラズモンの寄与が、フォノンに加えて超伝導に重要であることが示唆される。また、この系における初めてのホール効果測定に成功した。ホール係数はほとんど温度変化せず、キャリアの散乱率がフェルミ面上で等方的であることを強く示唆している。さらに、この系における初めての光学反射率測定にも成功した。絶縁体の母物質にLiをドープすると、プラズマエッジを伴った金属的な反射帯が現れ、ドーピングとともにプラズマエッジが高エネルギー側にシフトする様子が明瞭に認められた。プラズマエッジのドーピング依存性から、キャリアの有効質量を見積もり、これが以前に測定した電子比熱係数から求めたものとほぼ等しい値を与えることがわかった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] Probing electron-phonon interaction in LixZrNCl superconductors by Raman scattering2007

    • 著者名/発表者名
      A.Kitora et al.
    • 雑誌名

      Journal of Physical Society of Japan 76

      ページ: 023706

  • [雑誌論文] Low-energy excitations in the electron-doped metal phthalocyanine Li_<0.5>MnPc from ^7Li and ^1H NMR2007

    • 著者名/発表者名
      M.Filibian et al.
    • 雑誌名

      Physical Review B 75

      ページ: 085107

  • [雑誌論文] Increase in Tc upon reduction of doping in LixZrNCl superconductors2006

    • 著者名/発表者名
      Y.Taguchi et al.
    • 雑誌名

      Physical Review Letters 97

      ページ: 107001

  • [雑誌論文] Electrical conducting bis(oxalate)palatinate complex with direct connection of Cu-II ions2006

    • 著者名/発表者名
      C.Yamamoto et al.
    • 雑誌名

      Inorganic Chemistry 45

      ページ: 10270-10276

  • [雑誌論文] Potassium phthalocyanine, KPc : one-dimensional molecular stacks bridged by K+ ions2006

    • 著者名/発表者名
      S.Margadonna et al.
    • 雑誌名

      Inorganic Chemistry 45

      ページ: 10472-10478

  • [雑誌論文] Duality in an electron-doped ZrNCl superconductor as revealed by specific heat measurement2006

    • 著者名/発表者名
      Y.Taguchi et al.
    • 雑誌名

      Physica B 383

      ページ: 67-70

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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