これまでの研究により、細菌の構成要素であるLipopolysaccaride(LPS)の受容体であるToll 4receptor(TLR4)およびCD14がラット三叉神経節の細胞に存在していることが明らかにされた。このことから、歯髄や根尖歯周組織中の神経を刺激し炎症性メディエーターの遊離を誘発する以外に、直接神経に働きかける可能性が示された。 次いで、ラット三叉神経節の細胞を採取、培養を行い、LPSあるいは各種炎症性メディエーター(Prostagrandin E2、Bradykinin、Histamin、Serotonin)を作用させ、同様に免疫組織学的手法によりTLR4およびCD14の局在の変化を検索した。その結果、TLR4およびCD14のいずれも発現していることが明らかになったが、それらに有意な差は見られず、群によっては陽性反応は見られるものの、明らかに細胞の形状が変化してしまったものもあった。最近の論文では、培養液中のLPSの濃度によって歯髄細胞や象牙芽細胞中の発現量に大きな変化が生じることが報告されていることから、濃度を変えることにより異なる結果が導かれる可能性があり、今後の課題である。 また、これまで研究指導をされていたHargreaves教授が他のシンポジウムに出席するため来日した際に面会する機会を得、今後の研究打ち合わせを行った。
|