研究概要 |
本年度は,昨年度実験で用いた実験音声の組み合わせのうち,アクセント規則からは二通りの解釈が可能となるアクセントフレーズの組み合わせ(例えば,LHHHLHLLLは,LHHHL+HLLLでもLHHH+LHLLLでもアクセント規則に従う)を用いて実験を行った。実験で用いた音声は,有意味語音声24と,それぞれの有意味音声を模倣した無意味語音声24であった。これらの音声試料から,STRAIGHTのモーフィング手法を用いて,有意味語音声のパラメーターを保持した,以下の特徴を持つ3種類の実験音声を76(24種類×3セッション)作成した。 (1)基本周波数→有意味語音声,時間周波数座標→有意味語音声,音韻→有意味語音声 (2)基本周波数→有意味語音声,時間周波数座標→無意味語音声,音韻→無意味語音声 (3)基本周波数→有意味語音声,時間周波数座標→有意味語音声,音韻→無意味語音声 実験は小集団で行い,音声はスピーカーから出力した。実験参加者は,実験音声の切れ目を感じた場所の評定と,アクセントの聞こえについての評定を行った。本実験の結果,セグメンテーション位置がアクセント規則に従った割合は,(1)99.5%,(2)89.6%,(3)92.2%,アクセント規則に従うセグメンテーション位置を判断でき,且つアクセント型の判断もできた割合は,(1)56.8%,(2)40.1%,(3)41.2%であり,アクセント型の判断ができなくても,高い精度で,アクセント規則に従うセグメンテーション位置が判断されるという結果が得られた。この結果から,連続音声処理時のセグメンテーションとアクセント型の判断は,同一ではなく,異なる処理過程である可能性が示唆された。
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