肝細胞癌患者の癌免疫療法に有用と考えられるHLA-A24拘束性細胞障害性T細胞(CTL)エピトープを16種類同定した。さらにこれらのエピトープをもつペプチドを作製し、今後の臨床試験に用いるものとして、16種類中1つのエピトープについて肝細胞癌患者に投与するための安全性と有効性を確認した。 具体的には以下の検討を行い、それぞれの結果を得た。 (1)ペプチドを用いて肝癌患者のリンパ球を刺激し、インターフェロンガンマをはじめとするサイトカインの産生誘導能やT細胞の増殖能を測定し、肝癌の免疫治療に有用である可能性を持つ16種類のエピトープを同定した。本研究において同定されたペプチドは、肝癌患者末梢血リンパ球において高頻度にインターフェロンガンマ産生を誘導し、またペプチドで刺激することによって誘導したCTLはHLA-A24と癌抗原(ペプチドのアミノ酸配列を決めるもととなった抗原)を発現している肝癌細胞に対して、高い細胞障害活性を示した。 (2)ヒト主要組織適合抗原(HLA)をもつ遺伝子改変マウス(HLAトランスジェニックマウス)を用いた動物モデルにおいて、上記エピトープを含む各種ペプチドを投与し、癌ワクチンとしての有用性と安全性を確認し、肝癌患者での臨床試験に用いるペプチドとして16種類のエピトープのうち1つを決定した。
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