研究概要 |
絨毛膜羊膜炎存在下において胎動を検討する前に,合併症のない正常妊婦の胎児の行動を解析する必要がある.従来の2D超音波断層法を用いた胎児行動の報告はみられるが,4D超音波断層法を用いた胎児行動についての詳細は未だ不明である.2Dより詳細な行動観察が可能である4D超音波断層法を用いて,まず正常な胎児の行動について検討した.東京女子医科大学倫理委員会承認のもと,インフォームドを得た妊婦の胎児について,妊娠20週,30週時に,4D超音波断層法を30分間施行した.妊娠30週では20週に比較して全身運動(躯幹動作時間)の減少を認めた.また,手の接触運動について解析したところ,頭部,顔部,口部,体部の接触回数では,20週,30週ともに顔部に最も多く接触を認めた.頭部,顔部,口部を接触する回数は30週で有意に減少し,体部の接触については有意差を認めなかった.今回のデータにおける正常胎児の行動傾向を基として,炎症存在下における胎児行動と比較検討中である.胎盤病理にて絨毛膜羊膜炎を確定診断(組織学的絨毛膜羊膜炎)した,胎盤,卵膜における血漿adrenomedullinの濃度をRIAで測定した.加えて両組織におけるadrenomedullinの濃度と血清CRPレベルとの相関関係について検討している.胎盤組織については,絨膜羊膜炎群と,炎症のない正常群において有意差は認められなかった.卵膜については,絨毛膜羊膜炎群においてmature adrenomedullinは有意に低い濃度を認めた.また,血清CRPとadrenomedullinは有意な負の相関を認めた(r=-0.505,p<0.05).このことは,炎症により卵膜におけるadrenomedullinの活性が低下することが示唆することになる.現在併せてCRPと同様に,サイトカインとadrenomedullinの関連について検討中である.併せてin vitroの検討中である.
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