研究課題
特別研究促進費
本研究では、不特定多数のアスベスト暴露群から効率的に中皮腫の疑いのある者あるいは罹患者を早期に発見する診断システムを開発するため、血液診断の基準値(カットオフ値)やPETによる診断基準などを決定することを目的に研究を行った。まず第1に、本研究を実施する上で不可欠な臨床試験プロトコールや、細かい作業手順についてのマニュアル等を作成した。次にこの研究プロトコールに従って、実際の患者登録と血液診断、PET画像診断、病理診断などが行われた。血液診断については、順天堂大学が開設した「アスベスト・中皮腫外来」を受診した患者や中皮腫の疑いがある患者および健常ボランティアについて、同大学が開発した血液診断キット(ELISA法)を用いて、特異的なタンパク質(Erc/mesothelin)の濃度を計測した。その結果、Erc/mesothelinタンパク質のN末付近を認識する抗体を用いた結果では、同大学において中皮腫と確定診断された患者9名の値は全て健常ボランティアの値を上回った。このことは、本診断キットを用いれば中皮腫患と正常ボランティアを明確に分離する基準値(カットオフ値)が存在する可能性を示しており、今後より多くの症例について検証する事が重要である。PET画像診断研究においては、FDGとメチオニンを用いたPET診断を行った。中皮腫と確定診断された2症例に関しては、FDG、METともに軽度の集積が認められた。しかし、参考症例である中皮腫術後再発の患者についてみると、FDG、メチオニンともに強い集積が認められた。これらのことから、中皮腫診断においては、腫瘍のサイズや病理学的分化度などがPET画像に大きく影響を与える可能性が考えられた。今後さらに多くの症例について検討し、中皮腫のPET診断基準を確立する必要がある。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (5件)
Genomics 87・2
ページ: 236-242
Oncogene 25・20
ページ: 2885-2889
Virchow Archives 488・4
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Edited by Leon P. Bignold. (in press)
Cancer Sci. (in press)