研究課題/領域番号 |
17H00919
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
六川 雅彦 南山大学, 外国語教育センター, 教授 (40434609)
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研究分担者 |
鎌田 修 南山大学, 人文学部, 研究員 (20257760)
坂本 正 名古屋外国語大学, 外国語学部, 教授 (60205771)
伊東 祐郎 国際教養大学, 専門職大学院グローバル・コミュニケーション実践研究科, 教授 (50242227)
李 在鎬 早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 教授 (20450695)
由井 紀久子 京都外国語大学, 国際貢献学部, 教授 (20252554)
赤木 彌生 東亜大学, 人間科学部, 客員研究員 (30346580)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 口頭能力テスト / 日本語 / アカデミック領域 / ビジネス領域 / コミュニティー領域 / 介護領域 |
研究実績の概要 |
広く利用されている日本語の口頭能力試験が存在していないという現状を打破するために開始した研究である。2016年度に終了した科研費基盤研究(A)(課題番号25244023、通称「JOPT(Japanese Oral Proficiency Test)プロジェクト」)の成果を拡充、発展させ、一般使用できる口頭能力試験を完成させることを目的に研究を続けている。 当初は、アカデミック領域(A領域)、ビジネス領域(B領域)、コミュニティー領域(C領域)の3 領域に分かれた領域別の口頭能力試験の作成を目指してスタートしたが、現代の日本社会の状況を考慮し、現在は介護領域(K領域)も含めた4 領域に分かれた領域別の口頭能力試験の作成を目指している。 昨年度までは研究代表者、研究分担者、研究協力者合わせて7名体制であったが、2019年度は研究分担者を1名増やし8名体制で10の班(統括班、A~C、K領域班、評定・評価班、分析班、マニュアル班、ワークショップ班、システム班)を組織し、メンバーは1つ以上の班に所属し、各班で連携を取りながら活動している。 2019年度は4年間の研究活動の3年目であった。2019年は順調であったが、2020年に入り、新型コロナウイルスの影響が出てきたが、現時点では全体として計画通りに研究ができていると考えている。2019年度の具体的な進展は以下の通りである。 作問については全4領域で進展し、公開に必要な問題数を一応確保できた。2017年度末の試行で得られたデータ分析も終わらせた。新たに2019年度に試行を行ったが、そのデータ分析はまだ終了していない。また、試行で得られた会話データのコーパス化も進めている。その他、評定・評価方法に関する検討は継続中で、テストのシステムに関しても、第一次JOPTプロジェクトのものから改善して公開する予定で検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の通り、2019年度に10班体制に変更し、活動している。各班の進捗状況は以下の通りである。 1. 統括班は申請段階から所属メンバー1名の勤務先が変わったが、全員名古屋近郊に勤務しているため、変わりなく協力体制が維持できている。 2-5. 領域ごとに分かれて活動している作問班であるが、2018年度に検討を開始していたK領域についても先行きの見通しが立ったため、新たに独立した班として活動を開始した。作問に関しては2019年度は順調に進展し、全4領域で公開に必要な問題数を一応確保できた。現在は、問題の再確認を行っており、その作業が終了後に公開の予定である。 6. 評定・評価班は前回の試行調査で得られたフィードバックを基に評定・評価基準の再検討、再修正を行っている。また、現在分析班が行っている2019年度実施の試行調査のデータ分析が終わった後も同様の作業を行う予定である。 7. 分析班は2017年度の試行調査のデータの分析を終え、他班にフィードバックを与え、開発をデータ面でサポートしている。現在は2019年度に実施した試行調査のデータの分析も行っている。 8. マニュアル班は他班と連携を取りながらテスターマニュアル、評定マニュアルを作成している。 9. ワークショップ班は2019年度の試行の際に評定者向けのワークショップを実施した。その後、その時得られたフィードバックを基に効率的なワークショップ実施のためにマニュアルの検討を続けている。 10. システム班は、システムの仕様を検討し、大まかな仕様を確定した。 2019年中に上記のような活動を行ったが、2020年に入り、新型コロナウイルスの影響が出てきた。対面式の口頭能力試験の開発という研究の性質上、人に会うのが難しいという現状では各種の活動が制限されており、今後の影響が気になる。収束までの道筋が見えないが、工夫しながら活動を継続している。
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今後の研究の推進方策 |
試験開発という研究の性質上、試験を作成した後、試行、分析を経なければ論文化できないため、試験開発に比べて研究発表が遅れることは避けられないが、3年目の2019年度はこれまでよりも研究・論文発表ができるようになった。最終年度もこの活動は継続する。試験開発は開発が完了後に実際に使用してもらうことも重要であり、そのためには認知度を高める必要がある。今後も日本だけでなく、世界の主要地域での大規模な学会に参加し、認知度を高められるような活動を行っていきたいと考えている。 最終年度の2020年度は完成、公開、普及を目指して活動していく必要がある。具体的には以下の通りである。 公開時にはサンプル問題(複数)の公開も必要となる。作問班は現在完成している問題の精査を行い、修正、訂正、難易度の調整等を行いながら、サンプル問題を選んでいく。 試験の実施には確定した評定・評価基準、方法が必要になる。評定・評価班はそのための作業を継続する。 また実施には実施者のための各種マニュアルが必要になるため、マニュアル班はそのための各種マニュアルを完成させる。 JOPTは実施の際にタブレットを使用する。システム班はそのためのシステムを完成させる。 これらの作業にはデータの裏付けが必要となる。分析班は試行データ等の分析を行い、他班をサポートする。 これらの作業を経てJOPTを完成させるが、その後普及のための作業も必要である。本格的な普及活動の前に、2020年度中にワークショップ班はワークショップを行い、小規模な普及活動を開始する。また、その後の効率的な普及のために本の出版も検討している。 以上が計画であるが、現在猛威を振るっている新型コロナウイルスの影響により、試行、ワークショップ等の実施が計画通りできない可能性がある。その場合、規模を縮小する等の対策を取り、できる限り計画通りの実施ができるように工夫していきたい。
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