研究課題
本研究は、大規模パネル調査である「くらしと仕事に関するパネル調査」(LOSEF)の第4回調査を実施し、「くらしと仕事」に関するパネル分析を行い、その結果に基づいて社会的厚生の向上につながる効果的な政策提言を行うことを目的としている。最終年度に当たる2019年度においては、2018年12月に実施した上記LOSEF第4回調査のデータを第3回調査までのデータに連結し、本格的な解析を行ってきた。さらに、各種データを用いた実証分析も同時並行して推進した。代表的な研究例としては、次の3つが挙げられる。第1に、公的年金が高齢者の就業行動に及ぼす影響をパネル調査から得られる情報を駆使して分析した。その結果、在職老齢年金制度の就業抑制効果が、とりわけ60歳台前半において明確になることが確認できた。第2に、健康面からの相対的貧困率の再定義を試みた。相対的貧困率は通常、社会全体の中位所得の50%あるいは60%で貧困線を引き、それを下回る世帯が社会全体に占める比率で定義される。しかし、健康との相関関係が最も鮮明になる水準で貧困線を引くと、貧困線の水準や相対的貧困率が幾分高めになることが分かった。第3に、OECD諸国のデータを用いて、女性の就業率と合計特殊出生率との関係を分析した。両者の間に見られるようになったプラスの相関については、懐疑的な見方が一般的である。しかし、直近のデータを用いると、国ごとの固定効果を除いてもプラスの相関が確認でき、両者の関係が構造的に変化していることが示唆された。そのほか、多くの研究成果を学術論文や学会報告、単行本の形で発表した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 図書 (1件)
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