研究実績の概要 |
申請者らは、マウスの分化後の胎子精巣・卵巣において、性ホルモン刺激の有無により正常な野生型の個体の支持細胞においても性的2型の維持に破綻が生じ、卵精巣化が誘導される実験系を樹立した。胎子卵巣では雄性ホルモン刺激により、髄質領域からセルトリ様細胞を含む精巣様組織が誘導され、一方、セルトリ細胞が作る雄性環境を除去すると、胎子精巣から卵巣が再誘導される。初年度は、移植卵巣の雄性環境による性転換について、ホスト側の性ホルモンの影響について検討した。去勢雄、雌ヌードマウスにTestosterone, DHT処理を施し、移植卵巣での雄性化に対するホスト側の性ホルモンの影響を検討した。その結果、T, DHT 処理により去勢雄、雌ヌードマウスともに移植卵巣の雄性化が進行し、雌ヌードマウスにおいてもT, DHT 処理によりSOX9陽性セルトリ細胞の出現することが判明した。この結果から、Testosteroneが移植卵巣の雄性化を誘導していることが判明した。さらに、移植卵巣組織におけるARの発現を検討した結果、退行中の卵胞上皮、精細管様構造の支持細胞に発現しており、ARの下流遺伝子Ube2, B4gaint1, Tubb3の発現が雄ヌードマウスにおいて上昇していることが判明した。一方、SOX8, AMH欠損胎子の移植卵巣において、卵胞退行は野生型と比べ抑制されるが、SOX9陽性セルトリ細胞の出現したため、本性転換には移植卵巣側のSOX8, AMH活性が必須でないことが遺伝学的に証明された。また、胎子精巣のセルトリ細胞除去による卵巣化については、AMH-TRECK系統の Tg と同腹のWt のXY胎子精巣を用いて、DT 処理後12 時間目(セルトリ細胞除去)の培養群と卵巣形成が誘導される 4 日目の培養群でのRAN発現変化についてマイクロアレイ解析を行った(雌特異的な938 個の遺伝子を同定)。
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