研究課題/領域番号 |
17H01583
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
冨永 悌二 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00217548)
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研究分担者 |
藤村 幹 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (00361098)
新妻 邦泰 東北大学, 医工学研究科, 教授 (10643330)
出沢 真理 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50272323)
後藤 昌史 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50400453)
坂田 洋之 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (80722305)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Muse細胞 / 多能性幹細胞 / 組織修復 / 細胞移植治療 / 中枢神経疾患 |
研究実績の概要 |
Muse細胞は生体に存在する自然の多能性幹細胞であり、腫瘍性を持たない。安全性と組織修復性を両立した珍しい細胞であり、幹細胞治療の有力なソースとして注目されている。我々は脳梗塞動物モデルにおいてMuse細胞が生着、分化した神経回路を再建することを示してきた(Stem Cells, 2016; Stroke, 2017)。本研究の目的は、寝たきりの大きな原因で、社会的問題となっている中枢神経疾患に対し、Muse細胞による局所修復・機能再建治療を幅広く開発する研究基盤を形成することである。Muse細胞治療により失われた神経機能を回復することにより、寝たきり患者の減少、患者及び家族の生活の質の向上、医療費削減等においてきわめて大きな社会的波及効果が生じると考えられる。 当初の計画通り、Muse細胞の分離法改善、Muse細胞製剤開発体制整備、脳梗塞以外の適応疾患の3点を継続して行ったが、Muse細胞の製剤開発については、伴走企業で他家移植用製剤開発が進んでいるため、優先順位を落とし、脳梗塞に引き続く適応疾患の開発を積極的に行った。Preliminaryな結果ではあるが、脊髄損傷等の動物モデルにおいてもMuse細胞による神経症状改善を認め、脳梗塞以外への適応の十分現実的であると考えられた。 Muse細胞による治療メカニズムに関しても、細胞のトラッキングなどの試験を追加し、脳への集積、その他全身臓器への集積の有無などの詳細を検討中である。 これらの成果にも基づき、脳梗塞に対する臨床での治験も開始するに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
脳梗塞以外の適応疾患探索も進んでおり、また脳梗塞の治療メカニズムの詳細な解析も順調に進行している。製剤開発の優先順位を落としたが、企業側で製剤開発が進むこととなったため、より臨床応用に向けて加速したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在順調に開発が進んでいるため、当初の計画通り、メカニズムの詳細確認や新規適応疾患模索目的に動物実験を行う。また、Muse細胞の分離法改善も継続して探索していく。 自前のMuse細胞の製剤開発については、伴走企業で他家移植用製剤が開発され、治験に入ったため、企業が開発した製剤が使用できない特定の状況以外では必要ない状況になった。企業治験の対象にならないような疾患の治療の可能性を考え引き続き開発は継続するが、新たな適応疾患を発見することのほうが重要性が高いため、そちらに重点を置いて開発を継続する方針とした。
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