研究課題
本研究は、問題解決の場において、必要に応じて他者の助けを引き出して組織化することで協働的課題解決のための社会関係資本(人的・物的資源のネットワーク)を構築するとともに、他者と協働することをとおして自身の能力を高めていけるような「自己足場かけスキル」を備えた人材の育成をゴールとし、自己足場かけスキルの解明、自己足場かけスキル育成手法の提案、上記手法の実施を支援する学習システムの設計と開発と評価、上記の育成手法および育成システムを運用するためのカリキュラム開発を目指すものである。当該年度は、①調査ツールの開発、②自己足場かけスキル明確化と育成手法立案にむけた調査をおこなった。①調査ツールの開発:大学におけるPBL授業の観察をとおして自己足場かけスキルに関する知見を得るための調査ツールとして、多人数の学習者による助け合いの経緯を記録し、分析するための作業状況記録・可視化するシステムを開発する。既存の利用した助け合い状況記録システムを改良し、文字による助け合い内容記録機能、インタフェース向上、スマホ環境での稼働のための改善をおこなった。②自己足場かけスキルの明確化および手法立案のための調査:自己足場かけスキル育成手法を提案する基盤となる知見を得るために関連研究の文献調査と観察研究を実施した。文献調査では、学習科学、教育工学にとどまらず、組織論、贈与論といった関連領域も対象した。ここより、発達の最近接領域の捉え方、互酬性規範の設定に仕方等について新たな知見が得られた。観察研究については、適切な実験の手法および実験環境について検討し、計画の立案をおこなった。
2: おおむね順調に進展している
文献調査とともにおこなう予定であった観察調査は、文献調査によって得られた新たな知見を組み入れたことから時期をずらして実施することとなった。しかしながら計画の遂行には問題のない範囲である。
計画に基づき実施する。調査によって新たな知見が得られた場合には、それに基づいて、訓練手法の内容や支援システムの仕様を柔軟に調整するが、全体の進行には影響がでないように配慮する。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
In E. Langran & J. Borup (Eds.), Proceedings of Society for Information Technology & Teacher Education International Conference
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