研究課題/領域番号 |
17H02642
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
高橋 知音 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (20291388)
|
研究分担者 |
川崎 聡大 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (00444654)
篠田 直子 信州大学, 学生相談センター, 助教(特定雇用) (00758948)
島田 英昭 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (20467195)
望月 直人 大阪大学, キャンパスライフ支援センター, 特任准教授(常勤) (20572283)
諏訪 絵里子 大阪大学, キャンパスライフ健康支援センター, 特任講師(常勤) (40707692)
楠 敬太 大阪大学, キャンパスライフ支援センター, 特任研究員(常勤) (70770296)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 読字 / 不安 / ストレス / 客観式テスト / 学習障害 / ディスレクシア / 合理的配慮 |
研究実績の概要 |
研究1「読み書き速度と選択式試験における解答時間の関係」に関しては、今後の実験で利用するための選択式試験の開発を進めた。試験は①試験形式は医師や看護師の国家資格試験をモデルとする。②能力を評価することが目的ではないので、内容は多くの大学生にとってほぼ習得していると思われるものにする。具体的には小学校の教科の知識を問うような項目とする、の2点を考慮して作成した。①については、説明文章を読んで単語を選択する形式と、選択肢が文になっている形式の2タイプを作成した。2017年度は項目リストの作成までを行った。2018年度は、30名程度の大学生に回答してもらい、正答率を検討し、項目の精選を行い、10分程度で終わる模擬選択式試験を完成させる。 研究2「読み書きの遅さの背景要因の違いによる、回答時間への影響」では、予定を前倒しして、不安やストレスと読むことの関連についての研究を開始した。この研究を進めるにあたり、生理指標を測定するための機器(NIRS)を前倒しして購入し、データ収集を開始した。具体的には、読みのパフォーマンス、読みに対する困難感、心拍によって測定される自律神経活動におけるストレスの影響を検討した結果、実際のパフォーマンスよりも、困難感が実際の読みのパフォーマンスとは独立して自律神経活動に影響を与えている可能性が示された。これは、実際のパフォーマンスとしては大きな問題が無くても、潜在的な読み困難傾向が、大きな負荷となっている可能性を示すという点で、意義がある。2018年度は、これに脳血流のデータを加え、読み書き困難に関する主観的評価、実際のパフォーマンス、不安・ストレスの関連についてさらに検討を進める。 なお、すべての研究に関連するツールとして、読字・書字課題と読み書き支援ニーズ尺度に関して、既存データの再分析を行い、妥当性の検証をさらに進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では、研究1で選択式テストは2017年度中に完成を予定していたが、項目リストはできたものの、項目の精選まで行かなかったことから、やや遅れている。一方、研究2の中でも不安、ストレスの影響については当初の計画以上に進展している。また、眼球運動の影響に関する研究も、すでに準備が始まり、眼球運動を評価するための課題の作成が進んでいる。これらを合わせると、トータルとしてはおおむね順調に進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
2018年度の早い段階で、現時点でやや遅れている選択式問題を完成させる。これが、今後の試験における合理的配慮のエビデンスを得るための基本ツールとなる。読み書きにおける、不安・ストレスの影響、眼球運動の影響については、データ収集を進めると共に、脈波計、NIRSを購入し、複数サイトでのデータ収集を試みる。また、この知見を、実際の障害学生支援へと展開できるよう、機器の使用法やデータの活用法について、研究分担者と共有するための研究会を、昨年度に引き続き開催する。 一方で、これまでの成果を発信すると共に、読字書字関連の研究、生理指標に関する研究、試験における合理的配慮の研究等の最新動向についての情報収集も進める。
|