研究課題/領域番号 |
17H02642
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
高橋 知音 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (20291388)
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研究分担者 |
川崎 聡大 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (00444654)
篠田 直子 信州大学, 学生相談センター, 助教(特定雇用) (00758948)
島田 英昭 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (20467195)
望月 直人 大阪大学, キャンパスライフ健康支援センター, 特任准教授(常勤) (20572283)
諏訪 絵里子 大阪大学, キャンパスライフ健康支援センター, 特任講師(常勤) (40707692)
楠 敬太 大阪大学, キャンパスライフ健康支援センター, 特任研究員(常勤) (70770296)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 読み書き障害 / 大学生 / NIRS / 眼球運動 / ストレス / 自律神経活動 / アセスメント / 合理的配慮 |
研究実績の概要 |
大学生の読み課題に対する苦手意識による自律神経活動や読み成績の差異,ならびに読み課題遂行中の両側前頭前野の血中酸素飽和度の推移の関連を探索的に検討した。対象は大学生60名であった。高橋・三谷(2019)の読字・書字課題と読み書き支援ニーズ尺度を使用した。自律神経活動は脈波計(YKC社製TAS9view)を用いた。脳活動計測にはastem社,4chNIRS Hb131Sを用いた。結果,大学生は苦手な学習課題で,心理的負荷(苦手意識)が作業的負荷と独立して自律神経活動に影響すること,苦手意識は不安傾向を増大させ迷走神経緊張度を亢進させ,課題への集中を阻害することが明らかとなった。 また、読みに眼球運動機能がどのような影響を与えるかを、課題成績ならびに課題遂行時の両側背外側前頭前野の酸素飽和度から探索的に検討した。対象は,大学生60名であった。眼球運動機能の指標としてDevelopmental Eye Movement Test(DEM)と新規課題を実施した。新規課題は一致数とディスプレイ上の総視線移動距離,及び効率を用いた。読み成績の指標として,黙読課題および音読課題を実施した。酸素飽和度の計測にはastem社,4chNIRS Hb131Sを用いた。音読成績を制御変数とした偏相関係数は,DEMでは無相関となったが,新規課題では中程度の相関が見られた。次に,新規課題の効率の結果を基に,平均以下群と平均以上群を比較すると、平均以下群は音読・黙読課題ともにch1の賦活が低く,ch4の賦活が高い傾向を示した。このNIRSの結果は眼球運動機能の代償あるいは補完の結果によるものと推定された。 なお、引き続き、すべての研究に関連するツールとして、読字・書字課題と読み書き支援ニーズ尺度に関して、既存データの再分析を行い、妥当性の検証をさらに進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
読み書きに影響を及ぼす眼球運動や不安・ストレスの影響については、順調に進み、成果発表も行うことができた。また、評価ツールとしての読字・書字課題の妥当性検討も進んでいる。しかし、選択式テストの作成は諸事情により、作成が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度の早い段階で、現時点で作成が遅れている選択式問題を完成させる。これが、今後の試験における合理的配慮のエビデンスを得るための基本ツールとなる。読み書きにおける、不安・ストレスの影響、眼球運動の影響については、追加のデータ収集を試みる。また、この知見を、実際の障害学生支援へと展開できるよう、機器の使用法やデータの活用法について、研究分担者と共有するための研究会を、2018度に引き続き開催する。
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