研究課題
本研究は第二次大戦前日本の小学校・国民学校教員検定制度の府県比較と中央の初等教員検定関係法令制定・改正過程に関する総合的研究として、(1)検定関係規則・実態の府県比較、(2)中央法令制定・改正過程の検討より、同検定制度の特質を再検討し、同検定制度の全体像及び、同検定制度が初等教員養成に果たした役割を明らかにすることを目的とした。府県比較に関しては北海道、京都府、鳥取県等を検討し、最終年度は特に長野県の検討が進展した。検討の結果、次の諸点が明らかになった。(1)長野県の初等教員検定関係規則は「長野県小学師範学校規則」「学事諸則」「小学校教員免許状授与規則」「小学校教員検定細則」「小学校教員検定等ニ関スル細則」「小学校教員検定及免許状ニ関スル細則」「小学校令及小学校令施行規則実施ニ関スル規程」「国民学校令施行細則」の諸規則で規定されていた。(2)出願方法に関して、願書、履歴書、身体検査書等を、郡市町村長経由で県知事に提出することになっていたことは他府県と同様であったが、願書書式が試験検定用と無試験検定用が明確に区別され、受験者に詳細に記入させていた点、臨時試験検定等の実施に際し「知事ノ指揮」に言及し強調していた点はこれまで検討してきた府県と異なっていた。(3)検定実施回数・時期、(4)試験科目、(5)合否判定基準、(6)検定手数料に関してはこれまで検討してきた他府県と大きな相違点はなかった。中央法令・制定過程に関しては『上野教育会雑誌』に篠田利英が「小学校教員検定等ニ関スル規則」制定時の状況を記していたこと、同時期の『東京茗渓会雑誌』に尋常師範学校制度の調査・検討に関する記事が掲載され、師範学校卒業者を卒業後直ちに正教員として勤務することを認めるか議論が行われていたことが判明した。小学校教員免許状全国通用化に関しては『枢密院会議議事録』に記録が残されていることも判明した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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宇都宮大学共同教育学部研究紀要
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