研究課題/領域番号 |
17H02692
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
大谷 忠 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (80314615)
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研究分担者 |
中西 康雅 三重大学, 教育学部, 准教授 (00378283)
入江 隆 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (70253325)
荒木 祐二 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (00533986)
安藤 明伸 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (60344743)
磯部 征尊 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (70736769)
木下 龍 千葉大学, 教育学部, 准教授 (10586217)
谷田 親彦 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (20374811)
上野 耕史 国立教育政策研究所, その他部局等, 教育課程調査官 (20390578)
島田 和典 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50465861)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 技術科 / 教育課程 / 技能 / 身体 / 内容論 / 思考・態度 |
研究実績の概要 |
本研究は技術科における教育課程の内容に焦点を当て,生徒が実際に授業の中で身体を使って体験する活動を通して,自己をコントロールするための思考・態度(成長的思考態度)を育成する観点に立ち,「身体技能」の在り方を見直すことを目的としている。 本研究では,教科内容学に関する専門的な視点,先進諸外国との比較教育の視点等から,技術科の「身体技能」の活動について,不足している技能の指導内容を補足・修正するとともに,成長的思考態度の観点から,教育課程編成に資する技能の指導内容を検討している。本年度は,技術科における教育課程の内容で取り扱っている身体技能の内容を抽出し,その内容に関連する実技系教科書を調査・分析した。主に調査の対象とした実技系教科書は,工業高校及び農業高校で使用されている教科書,職業訓練校で使用している教科書を対象とした。特に,技術科における金属加工を中心とした指導内容を分析した結果においては,技能に関する知識の内容を抽出し,これらの技能の知識を工具の操作方法などの7つの技能の内容に分類した。本技能分類の尺度に従って,技術科教科書における金属加工の技能の内容を分類した結果,材料の知識の概念を除く,工具の使い方に関する操作方法などの手続き的知識が多く認められ,職業訓練に関する教科書に含まれる特徴的な技能で構成される内容とは異なる特徴をもっていることがわかった。 以上の結果から,現行の技術科教育課程における内容については,技能の習得に関する内容に偏りがあり,実技教科書に含まれる身体技能に関わる内容を検討し,その特徴を明らかにした点は重要な成果となる。本成果を踏まえ,今後はさらに実技系教科書の内容を踏まえた技術科における身体技能の内容を見直し,その指導内容に関する課題を抽出していくことを計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は,本研究の目的である技術科における教育課程の内容に焦点を当て,「身体技能」の在り方を見直すことを達成するため,既存の技術科における身体技能に関する教育内容の特徴を明確にすることとした。そのため,工業高校及び農業高校で使用されている教科書,職業訓練校で使用している教科書(木材加工系実技教科書,塑性加工実技教科書,機械加工実技教科書,電気工事実技教科書)などを対象として,これらの身体技能に関わる内容との比較から,教育内容の特徴を明らかにすることとした。 初年度は,技術科における金属加工を中心とした指導内容を抽出し,これらの内容をテキストマイニング分析により,技能に関する知識の内容を分析した。その結果,技能習得における宣言的及び手続的な知識が含まれており,これらの技能の知識は工具の操作方法などの7つの技能の内容に分類された。本技能分類の尺度に従って,技術科教科書における金属加工の技能の内容を分類した結果,材料の知識の概念を除く,工具の使い方に関する操作方法などの手続き的知識が多く認められ,職業訓練に関する教科書に含まれる特徴的な技能で構成される内容とは異なる特徴をもっていることがわかった。 以上の分析結果などから,現行の技術科教育課程における教育内容の特徴について明らかにすることができた点において,おおむね順調に進展していると判断した。ただし,その他の技能の内容についても引き続き同様の分析方法により明らかにするように進めていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は工業高校,農業高校教科書の内容,職業訓練を目的とする全国職業訓練校において使用されている教科書から身体技能に関わる知識の内容を抽出し分析を行った。平成30年度は,この結果を踏まえて,実際に工業高校における実習内容の調査を行うとともに,諸外国における技術的教科に関する実習内容を調査する。工業高校における実習内容には,機械を使用した実習や手作業による実習内容が含まれている。平成30年度の研究計画では,実際に工業高校における実習作業を実地調査するとともに,実習内容に使用しているテキストや実際に指導内容について調査を行う計画である。また,諸外国における身体技能に関する調査では,英国における技術教科(デザイン&テクノロジー)における実習内容を調査するとともに,米国におけるバージニア工科大学における関連する実習内容を調査する計画である。 以上の調査の結果を踏まえ,教科内容学に関する専門的な視点,先進諸外国との比較教育の視点等から,技術科の「身体技能」の活動について,不足している技能の指導内容の補足・修正するとともに,成長的思考態度の観点から,教育課程編成に資する技能の指導内容を提案していくことを計画している。
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