研究課題/領域番号 |
17H02696
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
釜田 聡 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (60345543)
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研究分担者 |
永田 佳之 聖心女子大学, 文学部, 教授 (20280513)
森茂 岳雄 中央大学, 文学部, 教授 (30201817)
市瀬 智紀 宮城教育大学, 学内共同利用施設等, 教授 (30282148)
藤原 孝章 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (70313583)
大津 和子 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (80241397) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 日本・中国・韓国 / 異己 / 理解 / 共生 / 国際理解教育 / 授業 |
研究実績の概要 |
今年度は,主に次の三つの研究を進めた。1これまでの研究成果の総括と先行研究の収集と検討,2「異己」理解・共生授業のプログラム開発,3「異己」理解・共生授業の三カ国での授業実践。1では,これまで日中で実践してきた「異己」理解・共生授業プロジェクトの成果と課題を総括し,韓国をまじえた三カ国の研究体制を再構築した。 (2)三カ国科研の成果と課題と姜英敏の先行研究,隣接する先行研究の成果と課題を総括した。隣接する先行研究とは,具体的に,ソーシャルスキルトレーニングや異文化コミュニケーション等の研究成果を収集し,分析した。2では,三カ国協働でプログラムを開発した。具体的には「所有(チョコレート等)」にかかわるプログラムと「友人関係(親友の条件等)」に関するプログラムを開発した。3では,日本(東京・東京学芸大学附属国際中等教育学校)と韓国(ソウル・ソウル市立九老中学校),中国(北京・史家小学校)で実践を行った。「異己」という概念に着目し,意図的に特定の集団内に「「異己」の存在を浮き彫りにすることを心掛けた。また,日中韓の児童・生徒にとって,身近な価値観の葛藤場面に遭遇する場面を組み込んだプログラムを作成した。そのプログラムに基づき,日中韓の教室で対話を行い,それぞれの話し合いの結果を日中韓の教室で再度話し合った。実践を終えた後,その成果と課題を整理し他学校種・他学年でも活用できるプログラムを作成することを次年度の課題とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年次は,先行研究の検討とプログラムの開発,三カ国の実践を行った。おおよそ当初予定通り,研究は進んでいる。特に,日本(東京・東京学芸大学附属国際中等教育学校)と韓国(ソウル・ソウル市立九老中学校),中国(北京・史家小学校)の三カ国三カ校での 授業実践と児童・生徒の交流ができたことは大きな成果であった。一方で,今後の課題として,三カ国において,さらなる実践協力校の確保と研究協力者の確保,さらに円滑な連絡体制の構築があげられる。新たなプログラム開発と共に三カ国での実践,児童・生徒間の交流を含め,スピード感をもって,研究を進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究成果に基づき,「異己」理解・共生を目ざしたプログラムの開発と実践を継続する。特に,三カ国の各学校種や学年,教科,発達段階に応じた内容に修正し,その修正した効果を実践を通じて確認する。「異己」理解・共生を目ざしたプログラムの場面設定は,三カ国の児童・生徒,学生にとって身近な事象や日常生活で生起する課題を設定する。また,価値葛藤を引き起こす場面を設定し,集団内の「異己」の存在に気付き,その「異己」とどのように調和を図るべきかを考える場を重視する。活用するメディアは,自作の読み物資料(シナリオ),市販のビデオ教材,自作のアニメを活用することを想定している。場面設定は,遠足や修学旅行,休み時間,学習時間中などで,価値葛藤を引き起こし,「異己」の存在に気付き,その上で,共生へのアプローチについて考えられるように工夫する。
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