カーン転移が駆動力する微粒子の自己集積は、微粒子の種類によらない一般的な物理現象と考えられていたため、微粒子の粒径依存性については注意が払われてこなかった。したがって、ナノ粒子濃厚分散液が粘調化しないという事実をカーン転移との相関の中で理解する本研究には、従来の定説を修正し、新しい学理を打ち立てる学術的な意義がある。また、ナノフルイドの低粘性が従来の濡れ転移の概念から逸脱した特異例であるという視点は、本研究によりナノ粒子の界面吸着が線張力に大きな影響を受けるという結論に繋がった。これはナノフルイドの産業的なデザインを理論面から支え、新材料開発にもつながることが予想される点で応用面でも意義深い。
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