本研究では円錐型両親媒性フラーレン(CFA)を用い,脂質などの小分子自己集合膜よりはるかに高い安定性を持ちながら柔軟性をもち,かつ様々な置換基の導入を許容する「柔らすぎず,固すぎない」分子膜の創製を目指した.その成果として,CFA分子が両親媒性分子でありながら界面活性をもたずに,フラーレン同士の強い会合力を介して自己集合するという特異な自己集合挙動を持つことを明らかにした.この性質を活かし,様々なCFAを合成し,水を極めて通しにくい分子膜,高い自立性とプロトン伝導性を有する二次元ナノシートの開発に成功し,さらにはCFA集合体を基盤とした細胞への核酸輸送システムを実現した.
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