研究課題/領域番号 |
17H04112
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
黒田 直敬 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (50234612)
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研究分担者 |
岸川 直哉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (90336181)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | キノン / キノン修飾体 / メナジオン / 活性酸素 / 化学発光 |
研究実績の概要 |
キノン構造を有する化合物は生体内や環境中に広く存在している。これらのキノン類は、[1] 活性酸素の発生により生体に酸化ストレスを与える、[2] その強い親電子作用により生体内物質の修飾を引き起こす、という2つの重大な作用を通じて生体に様々な障害をもたらすことが懸念されている。ここで注目すべき事実は、[2]で生成するキノン修飾体も活性酸素の発生能を有することである。しかしながら、キノンによる修飾体の種類、生体内濃度や挙動は明らかになっておらず、その生体障害作用も依然として不明のままである。そこで、本研究では、申請者らが独自に見出したキノン類の高感度かつ選択的な化学発光 (CL) 反応に基づくキノンとその修飾体の同時解析法を確立し、それらの種類や存在を解明するとともに、生体影響を評価し、バイオマーカーとしての可能性を探索する。本年度は、キノンのモデルとして代表的な合成ビタミン K であるメナジオンを選択してグルタチオン等の生体チオールと反応させることにより、いくつかのキノン修飾体を合成した。用手法による化学発光法により合成したキノン修飾体の活性酸素発生能を評価したところ、キノン修飾体の活性酸素発生能は元化合物であるメナジオンよりも増強していることが示唆される結果となった。次に、生体内のキノン修飾体の一斉定量を目的とする HPLC システムの構築を試みたが、HPLC の分離モードとして一般的な逆相系ではキノン修飾体を保持させることが困難であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
化学発光法による評価では、キノン修飾体の活性酸素発生能は元化合物であるキノンよりも増強していることが示唆される結果を得た。合成したキノン修飾体を標品として用いて HPLC における分離条件の検討を行っていた ところ、当初の想定に反し、キノン修飾体の極性が高く、低極性化合物の分離分析に適した逆相 HPLC によるキノン修飾体の解析が困難であることが判明した。
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今後の研究の推進方策 |
上記の HPLC 分離における現象に伴う不具合の解決は修飾体標品を用いる分離条件の確立に 必要不可欠なため、HPLC の分離モードをイオン対クロマトグラフィーや親水性相互作用クロマトグラフィーといった異なる相互作用を利用する分離モードによる分離条件の再検討を行う。
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