研究課題
基盤研究(B)
膵癌3症例の術前後血清をTandem Mass TagsとMSにて同定された血清蛋白の比較から補体因子であるC4BPAが同定された。C4BPA値を膵癌と膵炎・健常人や他癌種との比較で、膵癌で有意な上昇を認めた。さらに膵癌切除標本中ではC4BPAは膵癌間質へ発現していた。次に、術前胆道癌、良性胆道疾患、健常者血清を用い、ClinProtTM Systemでマーカー探索を行うと、胆道癌で上昇する蛋白としてthrombin light chainを見出した。胆道癌術前術後3症例の血清を用いて、術前高値である血清中のエクソソーム内の蛋白としてThrombospondin-1を同定した。
消化器外科
様々なproteomicsの手技を用いた血清蛋白の網羅的解析から見出された候補蛋白の同定を行った。これらの値を測定することで、既存の血清腫瘍マーカーや画像による早期診断の困難な代表的疾患である、膵胆道癌の早期診断に結びつく可能性があり、社会的意義のある研究であったと考える。今後の重要な課題であるこれらの蛋白の血清発現量を高感度に測定する検査系を構築することで、臨床応用の可能性がより高まると考える。