研究課題/領域番号 |
17H04377
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態科学系歯学・歯科放射線学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
米田 俊之 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (80142313)
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研究分担者 |
波多 賢二 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (80444496)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | がん / 知覚神経 |
研究成果の概要 |
がんの進展により激しい痛み(がん性疼痛)が誘発される。しかし、がん性疼痛の仕組みは不明であり、有効な治療手段が確立されておらず、痛みはがん患者の生存率を大きく低下させる。研究代表者らは、がん性骨痛の動物モデルを用いて、骨内で増大する乳がんが造る酸性環境が骨痛を誘発することを明らかにした。次いで、その酸性環境の影響をブロックする低分子化合物、あるいは天然物質が骨痛を緩和し、同時に乳がんの骨内での増大、さらに骨から肺への転移も抑制することを見出した。この結果より、がん性骨痛は生物学的にがんの進展、転移の制御に関与すること、またがんの酸性環境は有力な治療ターゲットであることが示唆された。
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自由記述の分野 |
口腔生化学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
血管の新生はがんの増大に不可欠である。しかし、血管の新生と連動して起こる神経の新生とがんの増大との関係は不明である。本研究は、増大するがん周囲の酸性環境による骨内の知覚神経の興奮、すなわちがん性骨痛、により知覚神経でのがん増殖促進因子の産生が高まり、その結果骨内でのがんの増大、骨からの二次転移が強まることを分子細胞生物学的に明らかにした。本成果は、がん患者を最も苦しめ、その治療を困難にする要因の一つであるがん性骨痛を抑え込むことにより、同時にがん自体の進展に対しても一石二鳥的に抑制効果が得られることを示唆し、今後のがん治療にこれまでになかった視点からのアプローチをもたらすと期待される。
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