ヒマラヤ山系にて飼育されている小型在来馬の遺伝的特性を明らかにすることを目的として2017年から2019年にかけて、ネパールのムスタン地方、ジュムラ地方、イラム地方において調査およびDNAサンプルの収集を行った。得られたDNAサンプルを用いてY染色体、ミトコンドリアDNA、毛色関連遺伝子の遺伝的多様性について調べたところ、Y染色体についてはきわめて特徴的なハプロタイプを持つ個体が存在すること、ミトコンドリアDNAについては他の在来馬と同様に多様性に富んでいること、毛色関連遺伝子では、祖先型の毛色である薄墨毛に関わるTBX3遺伝子の対立遺伝子が一定の頻度で存在することが明らかとなった。
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