研究課題/領域番号 |
17H04783
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高田 知実 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (00452483)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 監査 / 実証研究 / 監査チーム / 監査の品質 |
研究実績の概要 |
本研究は、監査チームの構成に関する決定要因を明らかにし、その構成が監査の品質に及ぼす影響を検証することである。監査チームは、2つの階層に分けて捉えることができるため、(ア)監査パートナー、(イ)補助者も含めた監査チーム全体に分けて、(a)チーム構成の決定要因と(b)監査の品質に及ぼす影響を個別に分析する。これらの分析は、(A)関連する文献のレビュー、(B)分析期間の特定とデータ収集、(C)データ分析の実施、(D)研究論文の執筆と学会・研究会での報告・意見交換、(E)論文の改訂・査読誌への投稿というステップで進めている。 令和元年度には、合計3つのプロジェクトを進めることができた。第1のプロジェクトは、(ア)監査パートナーについて、その作業負担に注目し、(b)監査の品質に及ぼす影響を分析した研究である。このプロジェクトは、前年度に(E)の段階まで進めることができており、今年度は主に投稿誌からの要求に応じて改訂する作業に注力した。第2のプロジェクトとして、(ア)パートナーの属性と(b)監査の品質に関する研究を進め、年度内に(D)の段階から(E)の段階まで進めることができた。そして、今年度に新たに始めた第3のプロジェクトは、(ア)監査パートナーに関する、(a)チーム構成の決定要因の分析である。今年度、このプロジェクトについては、(C)の段階まで進めることができている。また、本研究活動の一環として、今年度は、監査パートナーに関する実証研究の包括的なレビュー論文を日本語で公表し、学会にて監査規制に関する統一論題報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度は、本研究の第3年度にあたる。研究開始時点での計画とは研究の進め方を少し変更しているが、これまでの2年間で、(ア)監査パートーナーと(イ)補助者を含めた監査チームの研究のうち、特に前者については監査品質との関係の分析を進められており、2つのプロジェクトが学術誌への投稿段階にある。また、今年度は新たに、監査パートナー・レベルについて、決定要因に関する分析にも着手できている。そのため、監査パートナーに関連した研究については、良いペースで進められていると考えている。 一方(イ)監査チーム・レベルの分析については、研究協力者との調整のために、データ分析を終えた段階から進められていない。この点についてはやや進捗度が遅れているが、(a)決定要因の分析と(b)監査の品質に及ぼす影響の両方に取り組んだ研究であり、来年度には進められる見通しがついているため、進捗状況について大きな遅延が生じているとは考えていない。 以上から、当初の予定とは前後したプロジェクトがあるものの、来年度を最終年度として4年をかけて取り組む研究としてみて、予定通りの進捗度合いで進行している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、4通りの研究プロジェクトを進める計画であった。現時点ですでに全てのプロジェクトに着手しており、手付かずになっている研究プロジェクトは存在しない。最終年度である来年度には、全ての研究プロジェクトについて、最終段階まで進められる見通しである。ただし、前年度から継続して取り組んでいることからも明らかなように、査読誌の投稿から採択までのプロセスは1年以上を要する場合が多い。そのため、最終的な研究成果の公表を本研究の研究期間である4年以内に終了することが困難なプロジェクトも出てくることが予想される。その場合には、working paperとして一般に公表するなどの手段で、研究成果を広く公表するよう努めたい。
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