研究課題/領域番号 |
17H04786
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研究種目 |
若手研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会心理学
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
及川 昌典 同志社大学, 心理学部, 教授 (40580741)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 3システムモデル / 自己制御 / 意識 / 無意識 / 自動化技術 / 自由意志の感覚 |
研究成果の概要 |
意志の力を扱う心理学研究では、意識的な努力を必要とするシステム2が、自己制御において重要な役割を果たすと想定されてきた。しかし、有限の認知資源である意志の力への依存を抑えるために、人はシステム1、自動化された心の働きにも依存している。また、人はシステム3、活動を委譲するための自動化技術の開発を進めてきた。 このような3システムモデルに基づき、一連の実証研究が実施された。その成果として、システム2からの離脱において、システム1とシステム3は自己制御に異なる影響を及ぼすことが示された。また、システム2の働きを促進することで、自動化技術の恩恵を享受しながら、その弊害を回避できることが示された。
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自由記述の分野 |
社会心理学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現代社会において、自動化技術の恩恵は過大評価されており、その代償やリスクは過小評価されている。研究の結果、自動化技術は人々を面倒な労働から解放するが、単純に仕事を減らすだけでは、達成感や満足感を奪い、自律性や他者とのつながりを弱体化させ、成長の機会を失わせる危険性もあることが示唆された。また、簡易な意思決定を可能にすることは、決定に伴う自由意志の感覚を損なわせることはないが、活動を委譲することには問題があることが示された。これらの研究の成果は、自動化技術を賢く活用するための指針となるものであり、公平な意思決定を促す社会システムの構築や、自動化技術の開発について考える上で重要となる。
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