本研究では,単一の培養細胞を計測対象とした高分解能熱計測デバイスの開発を行った.温度センサとして酸化バナジウムサーミスタを使用すること,断熱のために薄膜浮遊構造を用いること,デバイス上で細胞が培養できることをデバイスの特徴とする.微細加工技術によって作製したデバイス上に細胞を培養し,細胞の温度計測を行った.細胞に対して薬液刺激を行ったところ,ゆっくりとした長時間の温度上昇を観察した.また,薬液刺激を行わない状態で環境温度25℃と37℃における細胞の温度信号の違いを比較したところ,後者の方が揺らぎの大きい温度信号を観測した.以上,目的としたデバイスの開発とそれを用いた細胞の温度計測に成功した.
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