当初の計画では、二次元場の理論の頂点演算子による定式化から出発し、さらに高次元の場の量子論の定式化を追究する予定であったが、その方針はうまくいかなかった。そのため、場の量子論の対称性およびその量子異常の概念を数学的に一般的に定式化および研究するという方針に切り替え、幸いこちらの方向性は順調に進んだ。例えば、これまでは対称性操作は可逆なものばかり考えられていたが、非可逆なものを考えてもよいことを指摘した Bhardwaj との 2018 年の共著論文はその後ゆっくりと注目を集め、非可逆対称性は世界の色々な人に研究されるようになり、特に今年(2022年)になって関連論文が多数発表されている。
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