カイラリティは空間反転対称性の破れを示し、物理・光学・化学・生物など幅広い分野で重要な概念である。通常は化学的な結晶構造に由来して物質がカイラリティを持つ。しかし、スピンの秩序においても、カイラリティが生じ、その重要性が近年広く議論されている。本研究では、スピン構造に由来したカイラリティの基礎特性の解明、その制御などスピンを使うことで得られる自由度の開拓を目的とした。テラヘルツ帯の偏光分光を行うことで、らせん型スピン構造に由来した自然旋光性を観測することに成功した。更に、自然旋光性を指標とすることで、カイラルドメイン壁のダイナミクスの動的相転移の観測に成功した。
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