本研究では,n型熱電材料の開発と,優れた電気的特性を有する材料の設計指針の提案を目指し,TiS6八面体の稜共有ネットワーク構造を有する物質である,Cu2Ti4S8スピネルとその関連物質,層状物質(SnS)1.2(TiS2)n(n=1,2),および擬一次元物質Sn1.2Ti0.8S3の熱電物性と電子構造を調べた。結果として,全ての系でn型の特性が確認され,また,TiS6ネットワークが電子キャリアの伝導を担うことが判った。また,元素置換やCuの酸化抽出などの方法でキャリア濃度とバンド構造を調節し,熱電性能を高めた。特にスピネルでは,TiのCo置換が電気的特性の向上に有効であるという知見を得た。
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