研究課題/領域番号 |
17H05101
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石川 桂二郎 九州大学, 大学病院, 助教 (00795304)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 加齢黄斑変性 / 糖尿病網膜症 / 線維化 / 上皮間葉転換 |
研究実績の概要 |
①糖尿病網膜症(DR)、加齢黄斑変性(AMD)患者サンプル(前房水)中のペリオスチン、テネイシンC(線維増殖予測マーカー候補)測定と臨床経過との相関を検討。 DR、AMDに伴う線維増殖の際に特異的に発現、機能する重要分子がペリオスチンやテネイシンCであることを我々は同定したが、それらの分子の患者眼内液中での発現が抗VEGF薬投与前後でどのように変化するかを検証した。AMDに伴う網膜下線維組織を認める患者の前房水中において、ペリオスチンやテネイシンCの濃度が対照群と比較して上昇していることを確認した。今後、症例数を増やして検討するとともに抗VEGF薬投与後の濃度変化を検討する予定である。 ② In vivo網膜下線維血管増殖モデルに対する抗VEGF薬投与後の眼内のペリオスチン、テネイシンCの経時的変化の検討。 マウスレーザー誘導性網膜化線維血管増殖組織モデルに対して抗VEGF抗体をレーザー誘導後7日目に投与し、21、35日目に眼球を摘出。網脈絡膜複合体を採取してペリオスチン、テネイシンC、上皮間葉転換関連分子のmRNA発現変化をリアルタイムPCR法で評価した。 抗VEGF投与に伴う線維化促進に関するいくつかの関連分子を同定することが出来た。これらのサンプルからタンパク質も同様に抽出し、発現変化を検討する。抗VEGF投与後の線維化に対して上皮間葉転換を抑制することが分かっているレスベラトロールを投与し、線維増殖の抑制効果を検証する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
①眼内に線維組織を有する糖尿病網膜症、加齢黄斑変性患者の前房水中にペリオスチンとテナシンの発現が実際に亢進していることを検証することが出来た。収集できる患者サンプル数が当初想定していたより少なかったため、引き続き収集を続ける。 ②抗VEGF療法後の線維化促進を動物モデルで確認したが、そのメカニズムについてmRNA発現のスクリーニングを行ったが、鍵分子の同定に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に従って研究を遂行する。 ①EMT抑制薬による線維化制御 レーザー誘導性脈絡膜血管新生モデルにおいて、EMT抑制薬を投与して網膜下線維組織形成への影響を免疫染色、OCTで検討する(in vivo)。培養網膜色素上皮細胞を用いて、細胞増殖、遊走に与える影響を検討する(in vitro) ②抗VEGF投与後の線維化促進メカニズムの解明 レーザー誘導性脈絡膜血管新生モデルに対して抗VEGF薬を投与後の網脈絡膜複合体から抽出したmRNAを用いて、責任分子の同定をreal time RT-PCRを用いて行う。同定が困難な場合は、RNA sequenceなど、網羅的遺伝子発現解析を検討する。
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