研究課題
EMTを標的とした治療が眼内線維増殖を抑制するのに有望であると考え、RPEのEMTを抑制する低分子化合物をスクリーニングした結果、ROCK阻害薬が強力なEMT抑制効果を有することを確認した。同薬剤は、眼内での半減期が非常に短いことより、長期停留、効果を持続させる必要がある。共同研究者の薬学研究院の松永直哉准教授の研究室で徐放化効果を有するROCK阻害剤を作成済みであり、動物を用いた薬物動態実験で徐放化が確認できている。同薬剤を、網膜下線維増殖モデル、網膜上線維増殖動物モデルに投与したところ、少ない投与回数で有効な線維化抑制効果を有することを確認できた。眼内に投与後の薬物濃度のモニタリングを行っており、薬物動態をさらに検討して臨床応用を目指す。眼内線維血管増殖を認める患者眼内液中で、ペリオスチン、テネイシンCの濃度が有意に高値であり、線維化の範囲と相関していた。以上より、線維化を反映する鋭敏なマーカーとして有用であることを論文で発表した。また、現在、国内外でAMDに対してRPE移植の臨床試験が行われているが、細胞懸濁液移植後の線維増殖や、移植した細胞が上皮細胞として正着し、網膜の恒常性を保つ機能を有するかどうかが懸念されている。ROCK阻害剤による上皮化促進作用がこれらの問題を解決できる可能性があり、現在、培養細胞を用いて検討を行っている。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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