研究課題
基盤研究(S)
二酸化炭素を炭素資源として利用することを目指し、新たな遷移金属錯体あるいは遷移金属錯体複合システムを設計・構築した。これを用いて各種の有機化合物と二酸化炭素から有用なカルボン酸誘導体を得るさまざまな触媒反応を開発することができた。中でも、エチレンやスチレンなどの入手容易な炭化水素と二酸化炭素を反応させカルボン酸を得る反応や、可視光エネルギーを利用して触媒活性種を再生する手法の開発は、この分野の研究を先導する成果である。
有機合成化学
本研究の学術的な意義は、遷移金属触媒を用いて不活性な分子である二酸化炭素をさまざまな有機化合物と直接反応させる手法の開発に成功したことである。また社会的な意義としては、化石資源の枯渇が大きな課題となっている現在、二酸化炭素を炭素資源として利用することで今後の物質生産に新たな可能性を提供したことである。さらに、従来必要とされていた金属還元剤に代え可視光エネルギーを利用する還元手法の開発は、太陽エネルギーを利用する物質生産として重要性が極めて高いものである。