本研究では、ヒト加齢精子のエピゲノムの特徴と自閉症を含む精神・神経疾患との関連性について検討した。正常精子(132例)と、加齢精子(65例)のDNAメチル化について比較した。その結果、1)年齢と精子数に負の相関を認めた。精子数の減少は、喫煙や運動、食事内容との関連を示した2)乏精子症精子では、多数のインプリント遺伝子のメチル化異常を示した 3)遺伝子プロモーター領域で共通のメチル化の違いを示す領域を同定した(高メチル化領域:271領域、低メチル化領域:102)。精神神経発達に関する遺伝子も変化を示した。以上より、ヒト加齢精子ではメチル化の変異が認められ、一部は神経発達の関与が示唆された。
|