本研究は,3ヶ月齢の健常満期産児において,啼泣前後に自律神経系・運動・発声がどのように共変動するのかを検討した。その結果、1) 自発発声の頻度が増加する一方で,ピッチ (F0)・フォルマント周波数の抑揚や発声間隔の変動が減少する点,2) 自発運動頻度・活動量が増加する一方で,躍度の上昇や両足の協調性の減少が生じる点,3) 1,2の変化には,自律神経活動の動的変化(心拍数の増加や心拍変動の減少,遠位-近位部温度勾配の増加など)が伴う点が明らかになった。このような発達初期における自律神経活動と発声・運動の共変動は,私たちの言語やコミュニケーションにおける感情表現の基盤となっている可能性がある。
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