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2017 年度 実績報告書

1960年代の農山村勤労青少年の進路変容と定時制通信制教育改革に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17H06596
研究機関東京大学

研究代表者

濱沖 敢太郎  東京大学, 社会科学研究所, 特任研究員 (80803725)

研究期間 (年度) 2017-08-25 – 2019-03-31
キーワード勤労青少年 / 定時制・通信制教育 / 農業教育 / 看護教育
研究実績の概要

本研究の目的は、高等学校定時制課程及び通信制課程の歴史的変容を、法制度や教育実践の観点から明らかにすることである。特にこれまで注目されることのなかった1960年代以降の農村における定通教育の役割と、農業や看護といった領域が定通教育に与えた影響について検討を行うことで、新たな歴史像を浮かび上がらせようとするものである。平成29年度は主に2つの課題に取り組んだ。
1、高等学校定時制課程及び通信制課程にかんする1960年代の制度改革について、研究課題採択以前に収集していた、「定通教育モデル校事業」にかんする文部省、岩手県及び東京都の資料分析を実施した。この中で文部省は工場労働者の多い東京都での実施を望んでいたにもかかわらず、結果的に事業実施を断念したこと、さらに文部省の当初の想定とは異なる形で岩手県がこの事業を活用しようとしたことが明らかになった。以上の資料分析の作業を踏まえて、これまで都市部工場労働と定通教育との関連性を重視してきた既存の研究に対して、農村部に残った青少年の進路形成、特に農業や看護領域との関連性が無視できない問題であることを研究成果として発表した。
2、戦後の看護政策にかんする研究を進めた。特に、看護婦の待遇にかんする政策や労働運動の展開を明らかにするため、金子光、大森文子といった運動を牽引した人物らの回顧録などを中心に収集整理を行った。その中で、1960年代の定通教育改革と関連の深い准看護婦にかんする国レベルの議論の整理を、自治体における調査の準備作業として実施した。ここでは、国民健康保険制度の改革に伴って必要になった看護人材を、看護カリキュラムの改正と准看護婦の養成によって確保しようとする行政や医師団体と、准看護婦制度の廃止を含めて看護婦の待遇改善を訴えてきた労働運動との対立が露わになったことが明らかになっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究計画段階では平成30年度に実施する予定だった東京都にかんする調査を課題採択前に実施することで、定通教育改革及び関連事業を活用しようとした自治体の一つである岩手県との比較分析を行うことが可能になり、定通モデル校事業全体の事業としての性格や意義を把握するという点において計画を前倒しする形で進めることができた。
他方で、平成29年度中に実施する予定だった和歌山県及び鹿児島県にかんする調査については、当該学校がすでに廃校あるいは統合に向けた改組を進めている段階であり、特に学校にかんする資料収集が十分に進まなかった。

今後の研究の推進方策

平成30年度に予定していた3県での調査については予定通り、平成29年度に実施できなかった2県での調査も平成30年度前半に実施する予定である。特に、所属の変更に伴い鹿児島県での調査が比較的容易になったことから、鹿児島県での調査を優先して進め、学校資料の入手が困難だった場合にそれを補うことのできる資料の所在やそれを管理する行政上の部局、団体などを整理し、他県での調査実施の参考とする。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 量的縮小期における定通教育振興の論理2017

    • 著者名/発表者名
      濱沖敢太郎
    • 雑誌名

      教育社会学研究

      巻: 101 ページ: 111-130

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 高等学校教育における設置者負担主義の実質化過程2017

    • 著者名/発表者名
      濱沖敢太郎
    • 雑誌名

      日本教育政策学会年報

      巻: 24 ページ: 110-123

    • 査読あり
  • [学会発表] 量的縮小期における定通教育振興の論理2017

    • 著者名/発表者名
      濱沖敢太郎
    • 学会等名
      日本教育社会学会

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公開日: 2018-12-17  

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