研究成果の第一の意義は、これまで都市部の勤労青少年を中心的に取り上げてきた先行研究に対して、特に本研究が農村部に注目したことで、1960年代における定通教育の変容についてのより包括的な歴史像を描くことに貢献した点である。 第二の意義は、都市部あるいは農村部いずれにおいても、自治体による教育政策が定通教育の多様なあり方を生み出していた点を明らかにしたことである。この点は定通教育変容のメカニズムに明快な説明を与えられなかったという点で本研究が残した課題でもあるが、自治体レベルでの教育政策に着目する必要性を示したという点で、今後の研究課題につながるものと考えられる。
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