線維化肝由来細胞外器質で培養された肝細胞は、肝細胞特異的蛋白の発現が低下しており、Snail1やVimentinの遺伝子発現が増強するとともに、インテグリンβ1の発現亢進とリン酸化FAKの増加が確認された。この細胞にFKA阻害剤を投与すると、Snail1の発現が濃度依存的に抑制されるとともにHNF4aの発現が増加した。肝線維化の進行とともに細胞外基質からのインテグリン―FAKシグナルが活性化し肝細胞機能を低下させること、その機序に上皮間葉転換の誘導の関与が示唆され、インテグリン―FAKシグナルの抑制が肝線維化による肝細胞の肝機能を改善するための治療選択肢となりうることが示された。
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