本研究は、人工骨補填材であるβ型リン酸三カルシウム(β-TCP)顆粒同士をリン酸水素カルシウムによって橋架け、硬化させる自己硬化型β-TCP顆粒セメントに増粘剤を添加することで出血部位での硬化特性を付与し、その有用性を評価することを目的とした。練和液である酸性リン酸カルシウム水溶液のリン酸濃度は、20 mmol/Lでもβ-TCP顆粒硬化体が十分な強度および気孔率を示し、増粘剤であるカルボキシメチルセルロースの練和液への最大添加量は10wt%であった。実際にラット頭蓋骨欠損部を止血を行わずに増粘剤添加β-TCP顆粒セメントで再建した場合にも、硬化性を示すことを確認した。
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