研究課題/領域番号 |
17H06970
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
林 祐也 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特別研究員 (50806429)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 眼アミロイドーシス / シクロデキストリン / デンドリマー / トランスサイレチン / DDS |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、トランスサイレチン (TTR) 型家族性アミロイドポリニューロパチー (TTR-FAP) における眼アミロイドーシスの新規治療薬の創製を目指し、発症の要因となる眼からの TTR 産生およびアミロイド線維形成の両過程を同時に抑制しうる新規治療薬として、①眼特異的多機能型ドラッグデリバリーシステム (DDS) の構築、②TTR 産生抑制効果の検証、③アミロイド線維形成抑制効果および作用機序の解明を実施し、難治性眼アミロイドーシス克服への新たな道を切り開くことである。平成 29 年度は、眼特異的 DDS の構築を行い、siRNA 複合体による TTR 産生抑制効果およびアミロイド線維形成抑制効果の評価を実施した。 具体的には、眼標的型キャリアを合成し、TTR 標的 siRNA との複合体を用いて TTR 産生抑制効果を ARPE19 において評価した。その結果、眼標的型キャリア/siTTR 複合体は TTR 産生を抑制し、その細胞内取り込みは細胞膜表面上に発現する葉酸受容体を介することが明らかとなった。さらに、TTR へ眼標的型キャリア/siRNA 複合体を処理後のアミロイド線維形成能を検討した結果、本複合体は TTR アミロイド線維形成を抑制可能であることが示唆された。 本研究で用いた眼標的型キャリア/siRNA 複合体は、我々のオリジナル化合物であり、他者による報告は皆無である。さらに、眼アミロイドーシスにおいて、原因タンパク質の産生抑制効果とアミロイド線維形成抑制効果を併せ持つ治療法は報告されておらず、これまでに無い治療法となるものと確信する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書記載の研究計画通りに進捗している。さらに、マウスにおける予備的検討にも着手しており、当初の計画通りあるいはそれ以上に研究が進展しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
申請時の研究計画に従い、平成 30 年度には、評価系にヒト網膜色素上皮細胞株 ARPE-19に加え、マウスによる動物実験を実施する。さらに、疾患モデルとして、TTR-FAP 患者由来 iPS 細胞または TTR-FAP モデルマウス (Tyr114Cys Tg マウス) を用いて、より TTR-FAP 病態に近い条件での検討を予定している。
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