肺腺癌組織では単一の腫瘍内に組織亜型の異なる腫瘍が混在して存在する。申請者は、このような組織学的な腫瘍内不均一性の発症メカニズムを解明するため、がん関連線維芽細胞に着目した研究を行った。研究開始当初に想定していた転写共役因子であるYAPは、腫瘍組織構築の変化を制御していないことが明らかとなったが、興味深いことに組織亜型の変化に応じて腫瘍免疫環境が変化する新たな知見を見出すことができた。肺腺癌細胞はがん関連線維芽細胞とのクロストークによって免疫療法の効きづらい好中球優位の腫瘍免疫環境を生み出している可能性が考えられ、今後の肺腺癌に対する新規治療戦略構築の基盤となる成果を得ることができた。
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