本研究の目的は、近代に誕生した洋菓子商品が広告を介していかに少女と結びつき視覚化されたかについて、視覚文化論の立場から考察することにある。1910年代から40年代の森永製菓の洋菓子商品の広告について、初等教育を受ける男女児童としての「子ども」と学齢期の女子としての「少女」のカテゴリーに注目し分析した結果、1930年代に洋菓子広告と少女というジェンダー化された表象との結びつきが顕著になるまでの図像の変遷を整理するとともに、健康や教育に役立つ合理的な食べ物であり身体や心の快楽をもたらす嗜好品であるという両義的な意味をもつ洋菓子商品の特性にこれらの表象が密接に結びついていることなどを確認した。
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