研究課題/領域番号 |
17J06386
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 佑介 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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キーワード | メタ存在論 / Truthmaker理論 |
研究実績の概要 |
平成29年度においては、Truthmaker理論の具体的な理論的役割、動機を、メタ存在論的視点から明らかにするという大局的な目的を達成するために、「真理と実在の間の非対称的な関係(Truthmaking関係)をどのように特徴づけるべきか」という問いを軸に、研究を進めた。この問いは、本来、二年目に扱う予定であったが、より効果的に成果をあげるため、研究の遂行順序を見直した。その上で、次の成果を得た。 先の問いに対して、最新の研究を踏まえ、従来、多くのTruthmaker論者によって採用されてきた、必然化条件に基づいたTruthmaking関係の様相的特徴づけを緩めた特徴づけを提示することにより、回答を与えた。その過程で、これまで採用されてきた特徴づけがもつ、以下の問題点を明示化した。第一に、従来の特徴づけは、不当な仕方で、真理を表す文に対応する構造をもった存在者の存在を、不可避的に要求してしまう。第二に、従来の特徴づけは、真理を表す文のもつ構造に応じて、不用意に、様々な形而上学的問題を招いてしまう。 加えて、上記の研究内容を遂行する過程で、一年目に扱う予定であった、「存在論の方法としてのTruthmaker理論とはどのようなものか」という問いに対する部分的な回答として、以下の二点を明らかにした。第一に、存在論の方法としてのTruthmaker理論は、第一義的には、真理と実在の間に見出だされる実在論的直観の内実を、忠実に明示化するものでなければならない。第二に、存在論の方法としてのTruthmaker理論は、種々の真理を、それらが要求する実在的根拠と非実在的根拠を選別的に引き合いに出すことで、説明しようとするものである。 以上の内容は、『論集』(東京大学哲学研究室)および『新進研究者 Research Notes』(日本科学哲学会・科学基礎論学会)に掲載予定(決定済み)である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で示した通り、当初計画されていた研究内容の遂行順序を変更したものの、変更後の計画のもとでは、おおむね期待された通りの成果を得ることができた。 また、研究内容の分量の観点から見ても、一年目に達成された内容は、当初の計画において、研究内容の全体を三つに分けたセクションのうち、一つを完遂し、もう一つを部分的に遂行するものであった。したがって、平成29年度においては、変更後の計画のもとで、当初、一年目に予定していた研究内容の分量に相当する程度の内容を達成することができたため、二年目の研究計画にも無理は生じていないと言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度においては、当初の研究計画のうち、平成29年度に達成されなかった内容を扱う。より具体的には、一年目に予定されていた、「W.V.O. クワインによる存在論的コミットメントの基準に基づいた、従来の存在論の方法との比較から、存在論の方法としてのTruthmaker理論がどのようなものであるかを明らかにする」ことと、二年目に予定されていた、「存在論の方法としてのTruthmaker理論が、どのような種類の真理に適用されるべきかを明らかにする」ことを目標にする。
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