RNautophagyは、リソソームにRNAを直接取り込み分解する新規オートファジーシステムである。近年、RNautophagyによるRNA分解を仲介する輸送体として、SIDT2が見出された。これまで、主に単離リソソームを用いてRNautophagyによるリソソームへのRNAの取り込み機序について調べられてきたが、RNautophagyの細胞内基質となるRNAはまだ明らかになっていない。また、動物個体におけるRNautophagyの生理的意義も不明である。 本研究により、野生型 MEFおよびAtg5 (マクロオートファジー必須因子)KO MEF いずれにおいても、SIDT2 ノックダウン (KD)によりrRNA分解が抑制されることを明らかにした。また、RNautophagyの基質候補として着目したα-Synuclein mRNAについても、同様の結果を得た。SIDT2変異体を用いた実験結果なども併せて、rRNAとα-Synuclein mRNAがRNautophagyの細胞内基質になると結論した。α-Synuclein mRNAについて、RNautophagyを介した分解に寄与する可能性があるmRNAの領域を見出した。 SIDT2 KO マウスを作出し解析したところ、筋肉に顕著な異常所見を認め、組織染色によりrRNAのfoci様凝集物が観察された。その他、SIDT2 KO マウスの表現型について種々の解析を行った。 RNautophagyの細胞内基質候補になるRNAの網羅的な探索も実施した。SIDT2をKDしたAtg5 KO MEFおよび対照細胞についてActinomysin Dチェイス・アッセイを行い、マイクロアレイ解析に供した。この解析により、RNautophagyの新たな細胞内基質候補の選別に成功した。
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