研究課題/領域番号 |
17J40016
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研究機関 | 清泉女子大学 |
研究代表者 |
茅根 紀子 清泉女子大学, 人文科学研究科, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | アルプス / ゴシック聖堂壁画 / アントニウス会 / 聖アントニウス / ピエモンテ |
研究実績の概要 |
①ゴシック聖堂壁画の調査:初年度の研究計画全体の見直しに基づき、ピエモンテ地方全域ではなく、ドラ・リパリア河流域のスーザ谷を研究対象と定め、9月に渡欧し、調査を行った。初年度はスーザ谷東部の調査を行ったが、本年度はスーザ谷中部の調査を重点的に、計9つのゴシック聖堂壁画の調査を行った。:Parrochiale di San Pietro Apostolo、Cappella cimiteriale di Sant'Ippolioto、Cappella di San Valeriano、Cattedrale di San Giusto、Chiesa del Ponte、Chiesa di San Pietro、Certose di Montebenedette、Cappella di Santo Stefano、Parrochiale di San Cincenzo。今回の調査では、聖アントニウス伝図像サイクルの作例を見つけることはできなかったが、聖堂装飾プログラムの中に聖アントニウスの単独立像を見つけることが出来た。 ②史料『ジャン・ドゥ・モンシェニュの旅行記』編纂:本文は既に編纂を終えたが、共同編集者であるミシュレフスキー氏による序文が完成していない。2019年度中に必ず出版できるよう、引き続き調整を行っていく。 ③論文「宗教改革期までのアントニウス会―歴史的概観とアントニウス会美術」の執筆:聖アントニウス図像研究を発表していくにあたり、邦語によるアントニウス会の基本的な紹介が殆ど無いことに気が付いた。宗教改革以降、アントニウス会が急速に衰退していくことから、宗教改革期までの当会の歴史的変遷や美術の特質を概観する論文を執筆している。本論文は、2019年度『清泉女子大学紀要』に投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学位論文提出と重なったため、研究成果発表に十分に力を割くことが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
①ゴシック聖堂壁画の調査:9月にヨーロッパ調査を行う。昨年、担当者の不在で調査できなかったスーザ谷中部、加えて新しくバルドネッキア谷を踏査する。引き続き、アントニウス伝図像サイクル、アントニウス単独像の作例を収集したい。また、トリノ国立図書館、トリノ大学図書館、ミュンヘン中央美術史研究所、ミュンヘン大学図書館などで聖堂壁画に関する資料収集を行う。また、昨年度に知己となった現地の文化財保護団体とも引き続き交流を結ぶ。 ②史料『ジャン・ドゥ・モンシェニュの旅行記』編纂:共同編集者のミシュレフスキー氏の序文が完成次第、出版を行う。来年度の口頭発表、論文発表を目指し、史料の考察を行う。 ③執筆中の論文「宗教改革期までのアントニウス会―歴史的展開とその美術」を仕上げ、2019年度『清泉女子大学紀要』に投稿する。2020年度投稿に向けて、「写本『聖アントニウス伝』―フィレンツェ版とヴァレッタ版」の執筆に着手する。
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