研究実績の概要 |
今年度は、離散型のロジスティック回帰モデルにおける適合度の正確検定に関する研究を行った。Hara et al.(2010)では、ロジスティック回帰モデルのマルコフ基底の理論的導出は困難だが、実用的なマルコフ基底な部分集合を用いれば、MCMC法によって検定統計量の帰無分布からのサンプリングが可能となることを示した。しかし、そこでは、モデルの次元が高いときや、サンプルサイズの小さいところで不安定な挙動を示すことが問題点としてあげられていた。本研究では、逐次重点サンプリング(sequential importance sampling)を用いて、検定統計量の帰無分布からのIID系列のサンプリングアルゴリズムを提案し、実用的な設定で安定した挙動を示すことを明らかにした。これは、Yoshida, Hara and Saluke (2019)に掲載された。 また、この10年の間のグラフィカルモデル、計算代数統計学に関する研究成果を和文の研究所にまとめて出版した(青木、竹村、原 (2019))。 さらに、クロスセクションデータの分析手法として用いられてきたUplift model法をパネルデータへの自然な一般化を行い、実用上有用な推定量を考案した。 Yoshida, R., Hara, H., Saluke, P.M.(2019). Sequential importance sampling for logistic regression model. In Chen, C.H. and Cheung S.S.(eds), Computational Models for Biochemical Reasoning and Problem Solving. IGI Global. 青木敏, 竹村彰通, 原尚幸. 「代数的統計モデル」, 共立出版, 2019.
|