空間疫学モデルにおける多重性調整P値の正確計算は、ホットスポットを高精度に検出するために重要であるが、従来法では計算コストが高いという問題があった。また、近似アルゴリズムも存在はしているが、小標本のときに精度が悪いものであった。今回、地域間の空間的な隣接情報からグラフを定義し、そのグラフの分割を用いた分割統治アルゴリズムによって、正確なP値の計算が、実用時間内で可能になったことは、疫学の研究において意義があるものである。 また、近年の計算代数統計学による、グラフィカルモデルの推論に関する書籍は、和書ではまったくなかったなかで、書籍を刊行したことは、さらなるこの分野の発展に意義があることと考える。
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