研究課題/領域番号 |
17K00085
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
兪 明連 東京都市大学, 知識工学部, 教授 (80451384)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 動的QoS メモリ管理 / リアルタイムOS / リアルタイムプロセス / 非リアルタイムプロセス / メモリ量算出 |
研究実績の概要 |
本研究では、リアルタイムプロセスのデッドラインを保障するための必要な最小メモリ量を動的に予測してメモリを割り当て、それ以外のメモリを非リアルタイ ムプロセスに割り当てることによって、リアルタイムプロセスのデッドラインを守るとともに非リアルタイムプロセスの終了時間を短縮することを目的とし、1.「メモリ量算出プログラム」、2.「動的QoS(Quality of Service)メモリ管理モジュール」を搭載したリアルタイムOSを開発する。 2018年度は計画とおり、2.「動的QoS(Quality of Service)メモリ管理モジュール」について、(1)動的QoS メモリ管理方式設計、(2)メモリ管理方式の実験及び性能評価、(3)各リアルタイムプロセスのメモリ割り当てスケジューリング方式検討、(4)メモリ管理モジュール実装を行った。 具体的には、(1)と(2)については、QoSを保障するメモリを動的に確報するアルゴリズムを設計し、QoSを保障範囲について性能評価を行った。(3)と(4)については、2017年に開発した「メモリ量算出プログラム」を用いてプロセス毎の要求メモリ量を計算し、動的QoSメモリ管理方式に基づいてプロセスをメモリに割り当てするモジュールの開発と実装を行った。開発するモジュールは必要な最小限のメモリをリアルタイムプロセスに割り当て、リアルタイムプロセスのデッドラインミスを許容可能な範囲内(QoS)で保障するとともに、メモリ効率を向上させ非リアルタイムプロセスの性能低下を防止する。 そしてそれらの成果を論文誌と国際会議にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度は、1.「メモリ量算出プログラム」について、(1)モバイル環境で多様なプロセスのファイルアクセスのトレースを抽出、(2)プロセスのワー キングセットの大きさとlocalityの値を調査、(3)動的にメモリ量を計算するアルゴリズムの設計、(4)調査・分析の結果に基づいて動的にメモリ量を計算するアルゴリズムの設計とメモリ量算出プロフラムの実装及び評価を計画していた。 (1)については、各プロセスを選定し、メモリアクセスの分析を完了しており、順調である。(2)も各プロセスのワーキングセットの大きさとlocalityの値の調査を完了しており、順調である。(3)については、メモリの大きさを算出するモジュールを設計しており、計画とおり進んでいる。(4)については、アルゴリズムの設計とメモリ量算出プロフラムの実装までは完了している。評価がやや遅れているが、ほぼ計画とおりである。 2018年度は、2017年度に完了できなかった評価を完了し、2.「動的QoS(Quality of Service)メモリ管理モジュール」について、(1)動的QoSメモリ管理方式の設計、(2)メモリ管理方式の実験及び性能評価、(3)リアルタイムプロセスのメモリ割り当てスケジューリング方式の検討、(4)メモリ管理モジュールの実装を計画していた。 (1)と(2)については、アルゴリズムの設計と評価が完了しており、順調である。(3)と(4)については、メモリ割り当てスケジューリングアルゴリズムの設計と性能評価が完了しており、順調である。 以上のように、全体としておおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は研究最終年度であり、2017年度に開発した1.「メモリ量算出プログラム」と2018年度に開発した2.「動的QoS(Quality of Service)メモリ管理モジュール」を、アンドロイドを搭載したプラットフォームボードの上に移植し、実装・性能評価を行うことで、リアルタイムOSの開発を完了する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を国際学会で発表することを計画して旅費を計上したが、日本国内で開催された国際学会で発表することになり、旅費の費目に未使用額が生じている。国際会議の参加費など2018年度のその他の費目の実支出額が研究計画で計上した費用より高くなったことを考慮して、2019年度は、2018年度の未使用額をその他の費目に用いる。
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