研究課題
本研究では、まずサイバーフィジカルシステム(CPS)およびIoT(Internet of Things)を鑑みた現状のネットワーク暗号化システム、さらにIoT機器自体での認証、データ秘匿に用いられる既存の軽量暗号を含む共通鍵暗号の安全性について評価し、さらにそのサイバーセキュリティシステムへの実装まで踏み込み、安全なシステムの構築に対して指針を与えようとするものである。平成29年度では共通鍵暗号の動向について理解を深め、共通鍵暗号の中でも多種多様な複数の暗号において、従来からの解読法を改良することにより、安全性評価を行った。特にそのいくつかにおいてはベストアタック(現時点での、その解読計算量において最良の攻撃法)を提案し、この分野において多大な貢献を行った。平成30年度では、前年度の各種共通鍵暗号における安全性評価をさらに進めた。具体的には、昨年度提案したハードウェア向きの変形Feistel構造のブロック暗号であるHIGHTのベストアタックの詳細な検討を行い、評価を明確に与えた。また我々が提案した軽量ストリーム暗号としてのKreyviumに置ける解読法をさらに詳細な評価を行うことによって、効率化を進めた。また、ストリーム暗号として著名なSNOW 2.0に対する新たな攻撃法を提案し、評価を行なった。最終年度はこれらの成果をまとめるとともに、特に暗号の実装における研究として、無線LAN暗号WPA2の脆弱性を中間者攻撃からさらに進め、無線LAN全体の脆弱性に展開した。本研究の成果は暗号の安全性評価のみならず、それを応用したサイバーセキュリティシステムの一環である無線LANにおける安全性の評価に踏み込み、サイバーセキュリティ全体についても大きな示唆を与えるものである。
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