研究課題
2019年度は専門外来受診者で運転免許保持する高齢者を対象に認知症の運転能力評価を10名(DLB2名AD7名、血管性認知症2名)に行った。初発時の平均年齢は70.6歳、男性7名、女性3名で、CDR0.5 8名、1:2名であった。平均MMSE22.4点、NPI平均19.8点であった。運転シミュレーターの結果では、10例全てが適正無し、と判定され、逸脱回数平均13、衝突回数0.6回で信号無視は10例中、2例であった。DLBでは認知機能及びADLは比較的保たれていたが、いずれも運転シミュレーターにおける逸脱回数とNPI得点が高く、DLBの運転能力には精神症状と注意機能が関連性していることが示唆された。2017-2019年の3年間に専門外来受診者で運転免許保持する高齢者MCI41例、VaD14例、AD18例、DLB15例を対象に認知症の運転能力評価を行った。研究対象であるDLB患者の運転能力評価方法を見出すため年齢、性別、MMSE、CDR、TMT 運転評価機器の成績を比較検討した。DLB患者の運転能力評価方法として注意機能に注目し、注意課題負荷時と負荷のない状態と各種評価項目をDLBとそれ以外の認知症、MCI群で分析した。CDRと注意課題負荷時と、負荷時と負荷なしの標準偏差比率(SDS)はDLB群で0.341、0.265とP<0.05で有意な相関を認めた。MMSEとの関連ではSDSがDLB群で0.332と有意な相関を認めた(P<0.05)。TMT-Aでは注意負荷なし課題時のSDの相関がVaDで0.337、ADで0.336と有意な相関を認めた。以上からDLBの運転能力は注意負荷の有無のSDsの相関が強く、またCDR、MMSEなどの認知機能、認知症の重症度と関連しており、DLBの運転能力はADやVaDなどの認知症性疾患と異なり、注意課題の負荷の有無の成績の比較が有用であると考えられる。
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