研究課題/領域番号 |
17K00531
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
内山 明博 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 特別研究員 (50354460)
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研究分担者 |
小林 拓 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (20313786)
松永 恒雄 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 室長 (70302966)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | エアロゾル / 月の反射率 / エアロゾルの月光観測 |
研究実績の概要 |
今年度は、スカイラジオメーターのアンプのゲイン調整、可視センサーと近赤外センサーの暗電流測定の分離、自動追尾のための月位置センサーの開発を行い、月の連続観測ができるようにした。また、校正データ取得のためにマウナ・ロア観測所で、約1ヶ月の連続観測を行いデータの取得を行った。 具体的には、月入力に合わせてアンプのゲイン調整(抵抗の交換)、月追尾の微調整(自動追尾)を行うための4分割センサーを用いた月位置センサーの開発を行い、つくばで連続観測を実施し、動作確認を行った。月位置センサーによる追尾調整は、半月~満月~半月の期間に動作した。それ以外の期間は簡易計算値だけによる追尾を行ったが、ほぼ正常に追尾した。画像センサー型の月位置センサーの開発も平行して行い、雲情報抽出など高度な利用法の開発を継続した。 その後、Langley法による校正を行うため、米国NOAAのマウナ・ロア観測所で2017年9月30日~11月7日の間、太陽及び月直達光の測定を行い、データを取得した(10月6日と11月4日が満月)。 月の反射率をROLOのIrradianceモデルを用いて計算し、絶対値には誤差があるが、相対値は正しいとして、Langley法を適用して校正を行った。反射率計算に必要な月の緯度・経度による太陽位置、観測者位置、両者の間の角(位相角)は、NASA SPICE toolkitを用いて計算した。予備的な解析結果であるが、ROLOの反射率は、低い傾向にあり、誤差は太陽と観測者の間の角(位相角)に依存していることが分かった。 検定観測後は、つくばで昼夜連続観測を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計測制御ソフトウェアに若干の問題があり、月の計算追尾が不安定になることがあるが、それ以外は、ほぼ予定どおりに開発が進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に取得した校正用データを用いてLangley法による校正を行う。つくばで連続試験観測を行い、エアロゾルの光学的厚さを推定する。得られた成果については、学会等で発表を行う。具体的には、以下のことを行う。 平成29年度にマウナ・ロア観測所で取得した日中データからLangley法で大気圏外太陽入射に対する検定定数の決定、夜間データからLangley法で大気圏外月光入射に対する検定定数の決定を全データに対して行う(検定定数とは、大気圏外入射光に対する出力)。Langley法を適用するときには、ROLOモデルの太陽・月・地球の位相角依存と、観測者位置方向依存を仮定して行い、上記の二つの検定定数データから、月の反射率を出す。この反射率とROLOモデルの反射率を比べる。 蓄積したスカイラジオメーターとライダーの観測データから昼、夜のエアロゾルが連続的に測定できているか確認する。 その他、観測データから、昼夜の違い、夜間も含めた日変化、頻度分布などを調べ、夜間データの有用性の確認や、気象研の太陽光に対して校正済みスカイラジオメーターと比較して、検出器の感度劣化について確認する。 成果を、研究集会、学会で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
月の追尾の制御に問題があり、月位置センサーの改修または制御プログラムの改修を行う可能性が生じ、費用が発生する可能性があったため、当初予定していた秋季日本気象学会の出席を取りやめたが、平成29年度には改修を行わなかったので、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、改修費用及びデータ解析装置の一部として使用する予定である。
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