研究課題
基盤研究(C)
D-ドーパクロムトートメラーゼ(DDT)に対する新規修飾物質の正体を、質量分析を用いて明らかにした。修飾物質の正体は、四塩化炭素の代謝産物と生体内低分子化合物が組み合わされたものであった。動物組織の中から初めて、質量分析を用いて明確に修飾を評価できた。ラット肝臓から抽出したすべてのタンパク質を対象に解析した結果、この物質はDDTおよびそのファミリータンパク質に対し、選択的に修飾していることが示された。
生化学
日常的な曝露が懸念されるクロロホルムは、浄水処理過程の塩素処理により生じる有毒物質である。クロロホルムは四塩化炭素と同じ代謝過程を経て、同じ代謝産物を生じることから、DDTおよびそのファミリータンパク質に対し、同じ代謝産物を修飾すると考えられる。学術的には、両タンパク質への選択的な修飾が、毒性影響の中で見出されたことに意義があり、社会的には、両タンパク質への修飾レベルの解析がクロロホルム等の潜在的な曝露の評価に有用となる可能性がある点に意義がある。